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★「妄想」を突き詰めた者だけが獲得出来る愛を描くという点では、
ヒチコックの『めまい』と同類の映画。
両作とも悪夢的なまでに美しい。
でも主人公は決して幸福にはなれないんだよな(笑)。
映画プロデューサー
[久保田修] -
★岩井さんご自身は、変態映画と言うけれど
ただただ、美しい映画だった。
うっとりするような死。
憧れる。
脚本家
[北川悦吏子] -
★まだ死ねずにいる者たちのためのパヴァーヌ
吸血鬼映画? だが、黒いマントを翻し牙から血を滴らせるアンチヒーローと、生気に満ちた美女たちの繰り広げる、サスペンスフルなスペクタクルは、ここにはない。冴えない気弱な吸血鬼と、すでに死の影の下にある女たちとのやりとりが、淡々と描かれるばかりだ。夢遊病のように緩やかに流れるその音と映像の、しかし、何とグロテスクで、何とエレガントなことだろう――アルツハイマー病に冒された吸血鬼の老母の奏でるラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」のように。そう、これは、まだ死ねずにいる者たち――つまりは私たちのためのパヴァーヌ、ラヴェルの他のタイトルを引用するなら、グロテスクな、しかも高貴で感傷的なパヴァーヌなのだ。
作家・思想家
[浅田彰] -
★傷ついた人の心に共振する優しき吸血鬼は、自分の心を裂いて魂の血をさしだす。
もし『ライ麦畑でつかまえて』の主人公が成長してヴァンパイアになったら、 この映画のサイモンになるのかもしれない
作家
[桜井亜美] -
★物語の中に感じる浮遊感は、僕らの血の重さを再確認させてくれる。
ハンドルネームを使った架空の世界から、現実世界で人と人が繋がり得る瞬間に、映像と共に僕らも繋がるのだ。
大きな代償を払って、彼はおしえてくれる。
画家・彫刻家
[奈良美智] -
★全てのカットに岩井さんの情熱が詰まっています。
映像の美しさ、静かな物語の展開。
それを包む音楽。その中で動く演者の感情。
ヴァンパイアという現実離れした題材にリアリティを吹き込んだ不思議な作品です。
俳優
[向井理] -
★私は
この流れる赤にはなれないのだろう
少し寂しくなった
俳優
[綾野剛] -
★小説にしろ映画にしろ、これほどクールで悲しいヴァンパイア物があっただろうか。
20世紀末まで英米の独壇場だったヴァンパイア映画は、21世紀、トーマス・アルフレッドソンの『ぼくのエリ200歳の少女』と岩井俊二の『ヴァンパイア』によって大きく地平が開けた。
これからのヴァンパイア映画はすべて、「トーマス・アルフレッドソンの『ぼくのエリ200歳の少女』と岩井俊二の『ヴァンパイア』以前・以後」という形で語られることになるだろう。
文学史上、ポリドリの『吸血鬼』、レ・ファニュの『カーミラ』、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』などが新しいヴァンパイアを創造してきた。
岩井俊二の『ヴァンパイア』はまさにこれに匹敵する映画といっていい。
法政大学教授、翻訳家
[金原瑞人] -
★孤独な魂の乱交—。
主人公の吸血鬼が岩井俊二にそっくりだった。
恐い!
映画プロデューサー
[鈴木敏夫] -
★また岩井俊二が新しい扉を開いて、
俺たちを知らない世界へ連れて行く。
映画監督
[紀里谷和明] -
★うろうろ彷徨する主人公のヴァンパイア青年が、監督・岩井俊二本人に見えたのは私だけだろうか?
ここまで正直な本音を描出した岩井映画は初めてだろう。必見の問題作には違いない。
映画監督
[長谷川和彦] -
★岩井俊二が帰って来た!
『ヴァンパイア』の衝撃は時代のエッジを鋭く切り裂く。
切ないまでのラブストーリーだ。
ミューズ蒼井優の存在感もすごい。
新たなる21世紀の岩井神話の誕生!
必見!!
作家
[中森明夫] -
★殺し、殺される二人がつくり出した静けさの中で、正確かつ緻密に命を抜き取る行為に、胸を打たれた。岩井俊二が描く、死にゆく女の血液は、葉先で日の光を含んできらめく朝露のように、美しい。
作家
[柳美里] -
★生きることの意味と、人と人とが惹かれ合う意義を、深いいたわりを持って描いている。
[Screen Daily]
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★吸血鬼神話に新たな知見をもたらした。
この静かでもの憂げで緊迫した人間ドラマは、何より、心を揺さぶるラブストーリーである。[Twitch]
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★岩井俊二は日本語以外でもその作家性を見せつけた。
息をのむほど詩的な映像は、美しくも不気味な世界観を作り出し、
感情を呼び覚ますような劇中音楽がこの傑作を完成させている。
メインキャスト以外の登場人物たちも素晴らしく、物語にさらに深みを与え、
もの憂げな映像と完全にシンクロしている。
『ヴァンパイア』は個々の人間とそれを終わりに向かわせるものたちの本質を探求している。[IndieWire]